ナズナ記

日記

HHKBを改造してみる

自分で記事を見返したとき、タイトルが適当だと割と不便だったので真面目に書くことにした。

私はコーヒーや紅茶を嗜むので、マグカップは常に机の上にある。マグカップのデザインでよく見るのは寸胴型か底面にかけてすぼんでいる尻すぼみ型。尻すぼみ型のほうがよく出回っている気がする。私はこの尻すぼみ型が本当に嫌いだ。なぜかというと、底面が小さいために手が当たった時にすぐに倒れてしまうからだ。

引っ越し先にマグカップをもって行き忘れたので、しょうがなく近場で買ったこの尻すぼみ型のマグカップを使っていた。先日、HHKBに溢すという事故が発生したのでその日のうちに買い替えた。

不幸中の幸い

HHKBに溢したのは砂糖も何も入っていない紅茶だったので乾かせばまた動く。特に、HHKBは静電容量式なので、スイッチ部分に多少の残留物があっても動作には原理的に問題がない。

とはいえ、どうも気分が悪いので分解清掃。ついでに改造することにした。

分解

まあねじを外すだけなので分解自体は特段面白いことはなかった。

構造的に面白い点があったので紹介。

上の画像左側はUSBの受け口などがある制御基板側。右側がキーボードのセンサ基板と接続端子。

静電容量を検知するのに高周波を使う関係か、キーボードにそこまでするかと思うくらいのノイズ対策がしてあった。ただ、制御基板側のシールドは裏面を向いていたので純粋に外部ノイズ対策かもしれない。どちらにせよよくできていると感じた。

そういえば、制御基板のねじ止めが一か所なされていなかった。わざとにしては突起と基板のクリアランスが大きいので単純に忘れてそう。

改造

HHKBにはいくつか不満点があって、特に不満だったのが打鍵時のスレ感とスペースバーの騒音。特に、スペースバーは大変愉快な音が鳴るので改善したいとは思っていた。

Lubeる

まずはスレ感の改善。

一般的に流通しているキーボードはスイッチがグリスアップ(Lube)されていない。国産だとHHKBやFILCOなどの1万越えの比較的高級ラインも例外ではない。そのため、スレ感がかなり強い。そのため、Lubeをして打鍵感を改善してみる。

少し前に買ったスタビライザー用のGPL 250 G0が余っていたので再利用。とはいえ、リニア軸にもよく使われるらしい。
マイクロアプリケータでLube。そんなに大変な作業ではなかった。色がつくかつかないかくらいがちょうどよいらしい。というか、それ以上塗ってもそんなに変わらないうえ、多すぎるとステムの上面や下面に広がって張り付いてしまうと思うのでその程度が最適だろう。右の写真は多すぎるので後で減らした。

スタビライザー改善

スペースバーがすさまじい騒音を発している原因として、スタビライザーの組付けが甘いことに原因がある。下の写真右側に示すように、スタビライザーだけ別のパーツとして成形され、組付けられている。ただ、設計が甘いのかかなりぐらついて、触るだけでカタカタ音が鳴る。

幸い、このスタビライザーの穴は19 mm角で市販のスイッチフォームが使えるので取り外してアッパー裏面に張り付けた。スタビライザーはかなり固い材料でできているようで、取り外すときに多少割れてしまった。とはいえ、戻りもよく意外と何とかなった。

あと、スペースバー裏面の中央の追加スプリングが接する部分にLubeした。これだけでもかなりスプリング音が小さくなる。

組み立て

組み立てるときはアッパー側にラバーを乗せる。その上に適当にスプリングを乗せ、最後にピンセットで位置合わせする。スプリングの位置合わせはピンセットでなくてもとがったものでスプリングの頂点とラバードームの頂点を合わせればいい感じに合う。

そういえば、組み立て時にエンターキーがリニア化するという不具合に遭遇したのでラバードームをほかのキーと交換したら改善した。交換先のキーは普通にタクタイルだった。何だったんだろう。

感想

打鍵感がぬめぬめして気持ちが悪いという話を聞いていたが、別にそんなことはなく純粋にスレ感がなくなり快適になった。もしかしたら、その人はこのスレ感が好きだったのかも。因みに擦れる音も消えたのである程度の静穏効果もある。スペースバーの改善はかなり絶大で、打鍵音はほかのキー並みまで改善し、最近のNuPhyのゴーストバーに近いものになった。総評としては純粋に打鍵感に高級感が増してとても満足。

普通のスイッチのLubeは小さいし、一つ一つ分解しなければいけないしでかなりハードルが高いが、HHKBは一度の分解でかつLube箇所も大きいので手軽にLubeできた。もし、HHKBをまた買うことがあったら最初からLubeしようかな。

正直、QWERTY配列のキーボードはほとんど使わないので放置でもよかったが、手軽な改造でかなり快適な打鍵感になった。結構気に入っており、Colemak配列化して使ってみようかと考えている。

 

この記事を執筆するにあたって使用したキーボード。
Dactyl Manuform 4*6 Custom + Wuque Studio Morandi + Drop MT3 Black-on-White Keycap Set